最初のポジショニングがうまくいかなかったら、調整する
市場が成長してきたら、少し広げてみる
競合が増えてきたら、もっと絞ってみる

1年で資料請求数を7倍に!小さな企業の集客をサポートする、シバサキカホです。
実際に問合せ数を増やしたOL時代の経験を元に、一人広報さんの支援をしています。
私がいた会社の社長は、いつもこう言っていました。
「この商品の良さを、みんなに届けたい!」
その想いは、本当に素敵です。
でも、小さな会社には時間も人手も限りがあります。
「みんなに」と願えば願うほど、合わない相手にも全力で向き合ってしまう。
その結果、本当に必要としてくれている人を逃してしまうこともある。

これは、以前の記事でもお話ししましたよね。
「みんなに」は、いつの間にか「誰でもいい」になり、メッセージは薄くなっていく。
- では、誰に届けるのか?
- どこで線を引くのか?
問題はここからです。
「じゃあ、誰に届けるか?」を決める時、もっと難しい問題が出てくるんです。
今回は、「みんなに届けたい」が生む落とし穴と、必要な人だけに届けるという戦略の話を紹介していきます🌸
例えば、「男性も女性も、30代も50代も使えるダイエット食品!」
そんな商品コンセプトを掲げたとします。

一見、間口が広くて良さそう…と思いましたか?
市場も大きいし、誰にでも売れそうな気がする。
でも、よく思い返してみると、30代女性と50代男性ではダイエットの悩みも、体質も、生活習慣も違います。
産後太りを気にする人もいれば、健康診断の数値が気になり始めた人もいる。
見た目重視の人もいれば、生活習慣病対策の人もいる。
全員に刺さるメッセージを作ろうとすると、どうなるか。
繰り返しになりますが、「みんなに」は、いつの間にか「誰でもいい」になり、メッセージは薄くなっていく。
「健康をサポートするバランス食品です」
……そうですね、このままでは誰にも強く刺さらない表現になります。
「みんな向け」は無理。
じゃあ…と「30代の働く女性」に絞ってみたとします。

さっきよりはぐっと幅が狭くなりました!
ただ…調べてみるとどうでしょう。
- 大手メーカーが潤沢な広告費を投下し
- インフルエンサーを起用し
- ドラッグストアの棚を独占している。
- SEOも広告も、すでに激戦区。
その市場には、すでに大手メーカーが陣取っています。
試しに、検索してみてください。
「30代 女性 ダイエット」と入力したら、どうなるか。
きっと広告枠にはテレビCMで見たことのある商品。
検索上位には、有名企業の公式サイトや大手メディアの記事。
ランキングサイトも、聞いたことのあるブランドばかり。
その中に、今から自社の商品を並べて勝てるかどうか。
大手が何年もかけて築いたポジションに、今日から参入して、いきなり勝つ。
無理な話ですよね。

“絞ったから勝てる”わけではない。
そこに、もう一段階の戦略が必要なんです。
「万人向けのダイエット食品」は競合が強すぎる。
じゃあ、もっと絞ろう。
そう考えるのは自然です。
- 「大手がいるなら、もっと細かくすればいい」
- 「もっとピンポイントなら勝てるかも」
それなら…「東京都中野区在住の、30代前半で、在宅ワーク中心、産後3年以内で、ヨガ経験があって、糖質制限に興味がある女性向け」にしよう!

あえて極端にしてみました。
そうですよね。……こんな条件に当てはまる人、いったい何人いるんでしょう?
確かに“誰向けか”は明確です。
でも、母数は一気に減ります。
- 広告を出しても、そもそも届く人数が少ない。
- SNSで発信しても、反応する人がほとんどいない。
- 仮に刺さっても、ビジネスとして成り立つ規模にならない。
ターゲットを絞ることは大事です。
でも、削りすぎると「ニッチ」ではなく「過疎」になります。
広すぎても戦えない。
狭すぎても成り立たない。
| 広すぎる | 「みんなに届けたい」→ 結局誰にも届かない |
| 狭すぎる | 絞りすぎて市場が小さすぎる → ビジネスにならない |
| ライバルが強すぎる | 大手がすでに陣取っている → 勝てない |
じゃあ、どうすればいいの?難しいですよね。
ポジショニングは、時間をかけてちゃんと調査して決める必要があるんです。
ポジショニングとは、自社が戦うフィールドを決めることです。
どの市場で、誰を相手に、どんな価値を提供するのか。

これを間違えると、どんなにいい商品でも売れません。
逆に、ポジショニングがバッチリ決まれば、小さな会社でも大手の入り込めない隙間で勝つことができます。
では、どうやって「自社が勝てるフィールド」を見極めればいいのでしょうか?
「広すぎてもダメ」「狭すぎてもダメ」
「大手がいたら厳しい」
多くの会社がここで止まります。
でも、ポジショニングは“センス”ではありません。
ちゃんと見るポイントがあります。

勝てるフィールドは偶然見つかるものではなく、条件を整理すると、見えてくるものです。
次にお伝えするのは、自社が戦う場所を見極めるための「3つの視点」。
構造で考えるためのヒントです。
ここを押さえるだけで、
「なんとなく戦う」から
「勝てる場所を選んで戦う」に変わります。
さあ、一緒に整理していきましょう🌸
まず、その市場に十分な人数がいるかを確認します。
「なんとなくいそう」ではなく、数字でざっくりでもいいので確認しましょう。

軽く下調べとして、まずは検索ボリュームを調べてみましょう。
Googleキーワードプランナーやラッコキーワードなどを使えば、「30代 ダイエット」「無添加 おやつ」などの検索回数を確認できます。
月間検索数が数百なのか、数万なのか。
それだけでも市場の温度感が見えてきます。

これは良さそう!というキーワードが見つかったら、人口データを見てみましょう。
総務省の統計や自治体データを見れば、
「30代女性は全国に何人いるか」
「子育て世帯はどれくらいか」
ざっくり把握できます。
製品の内容によっては、併せてその地域の、同じような商品に対する支出額等のデータを調べるとぐっと解像度が上がります。
最後はSNSの投稿数。
InstagramやXでハッシュタグ検索をしてみましょう。
投稿が数万件あるのか、数百件しかないのか。
これも市場規模のヒントになります。
何人に届く可能性があるかはひとつの目安になります。
もし調べてみて、
「検索ボリューム月50」
「SNS投稿ほぼなし」
「競合もいない」
となると、それはブルーオーシャンではなく、単に“市場が存在していない”可能性もあります。
逆に、
「検索は多い」
「投稿も多い」
「競合もいる」
なら、市場は存在している。

次なる問題は、そこで自社が勝てるかどうか、です。
次に、その市場にどんな競合がいるかを調べます。
「大手がいる」だけではまだ問題ではありません。
問題なのは、その市場を押さえられている状態かどうかです。
- 検索結果の1ページ目がほぼ大手ブランド
- 広告枠もすべて有名企業
- 価格帯が大量生産前提で安い
- 流通(ドラッグストア・ECモール)もほぼ独占
- SNSでの認知も圧倒的
こういう状態だと、資金・広告・ブランド力の総合力で戦うことになります。

小さな会社が同じ土俵で正面衝突すると、体力勝負になってしまいます。
それはあまりに、勝つまでにかかるコストが重すぎる。
競合はいるけど、小規模な会社ばかり。
ここは一番おいしいゾーンです。
- 検索結果は個人ブログや小規模企業が多い
- SNSの発信も属人的
- 商品レビューも少ない
- 価格もバラバラ
- メッセージが整理されていない
市場は存在しているけれど、まだ「圧倒的な勝者」がいない状態。
この場合、専門性を打ち出す・メッセージを整理する・世界観を統一する・数字やデータで信頼を取る…。
こうした戦略で、ポジションを取りにいける可能性がぐっと上がります。

「すでに需要はあるが、支配者はいない市場」です。
最後に、まだ誰も手をつけていない市場。
ここが一番誤解されやすいところです。
競合がいない=チャンス、とは限りません。
- 検索ボリュームはあるか?
- 本当に困っている人はいるか?
- お金を払う意思はあるか?
競合ゼロには、2種類あります。
- まだ誰も気づいていない有望市場
- 需要がなくて誰もやらなかった市場

違いは「お金が動いているかどうか」です。
SNSで悩み投稿が多い
関連書籍が売れている
似たジャンルで別商品が売れている
こういう兆しがあれば、ブルーオーシャンの可能性はあります。
でも、
検索ゼロ
話題ゼロ
お金の動きゼロ
なら、それはただの「海」かもしれません。
いずれの場合でも、最終的に自社のリソース(予算、人員、強み)で勝てる見込みがあるか?
これを、冷静に判断する必要があります。
そして最も重要なのが、その市場で自社の強みが活きるかです。

例えば、大手にはない、小回りの良さが活きる市場。
大手は強いです。
でも、大手には弱点もあります。
- 意思決定に時間がかかる
- 仕様変更に社内承認が必要
- 個別対応が難しい
- 細かいカスタマイズができない
一方で小さな会社は決裁が早く、「それ、やってみましょう」がすぐ言える。
お客様の声を即改善に反映したり、柔軟な提案ができる。
この差が活きる市場があります。
スピード感や柔軟性が価値になる市場。
そこは、小回りの利く会社が勝てるフィールドです。

また、自社に専門性があって、専門知識が求められる市場も強い部分。
- 業界特有のルールを知っている
- 専門用語が分かる
- 現場の実情を理解している
- 細かいニュアンスが分かる
こういう深い理解が求められる市場も、自社に専門性があるなら他が真似できない大きな強みです。
大手が広く浅くカバーする中で「この業界なら、うちが一番詳しい」と言えるなら、そこは十分戦える市場です。
専門性は、規模ではなく“深さ”で勝てる領域です。

同じように、地域密着型の市場も、他の人が真似できない戦えるフィールド。
全国展開している会社よりも、「地元の事情を知っている会社」の方が信頼される場面がありますよね。
- その地域の文化
- 商習慣
- 補助金や制度
- 人脈
- 口コミの広がり方
これらは、外から来た企業には分かりません。
地域に根ざしていること自体が、差別化になります。

最後は手作業や丁寧さが求められる市場。
価格競争の市場では、大量生産の大手が有利です。
でも、一点一点カスタマイズが必要だったり、細やかなサポートが求められる市場では、「丁寧さ」そのものが価値になります。
- 大量生産の既製品より、オーダーメイド
- テンプレ回答より、個別アドバイス
- マニュアル対応より、寄り添い型サポート
こういった場面では、スピードより“深さ”が評価されます。
自社の強みが、そのまま差別化ポイントになる市場。
それが、あなたが戦うべきフィールドです。
例を挙げてみましょう。
小さなリンゴ農園が、ポジショニングを考える場合。
| ❌ 広すぎる | 「みんなに効くダイエット食品」 → 年齢も性別も目的もバラバラ。 → 訴求がぼやける。 → 大手の“総合型ダイエットブランド”と真正面からぶつかる。 → 結局、価格勝負か広告費勝負になる。 |
| ❌ まだ広い | 「30代女性向けダイエット食品」 → 30代女性だけでも市場は巨大。 → 産後ダイエット、ブライダル前、健康診断対策、更年期予防、美容目的…目的が違いすぎる。 → すでに有名ブランドが広告もSEOも占拠している。 → 「30代 ダイエット」で検索すると、大手商品がずらっと並ぶ世界。 → 今から同じ土俵で勝てるか?という話になる。 |
| ❌ 狭すぎる | 「東京都中野区在住の、30代前半で、在宅ワーク中心、産後3年以内で、ヨガ経験があって、糖質制限に興味がある女性向け」 → ターゲットが絞られすぎて、市場が小さすぎる。 |
| ⭕ ちょうどいい | 「仕事が忙しくて“運動する時間がない30代女性”向け、置き換え型ダイエット」 → ターゲットの悩みが具体的 → “時間がない”という明確な共通課題 → 機能ではなく“ライフスタイル特化”で戦う |
- 悩みをもっと具体化する
- ライフステージを絞る
- 行動パターンを絞る
- 価値観で切る
そうやって初めて“勝てるフィールド”が見えてきます🌸
そして重要なことがひとつ。
ポジショニングは、一度決めたら終わり、というものではありません。
大手企業ほど、ここに本気で投資しています。
専任チームを置き、何百万円、何千万円とかけて市場を分析し、数字とデータで「どこで勝つか」を決めています。

でも、小さな会社には、そこまでの予算はありませんよね。
そして小さな会社が成功している沼を見つけると、やがて中堅・大手もやってきます。
市場は変わります。
競合も変わります。
お客様のニーズも変わります。
昨日までブルーオーシャンだった場所が、1年後にはレッドオーシャンになっていることもある。
SNSのアルゴリズムが変わる。
検索順位が入れ替わる。
原材料費や物価が上がる。
流行そのものが変わる。
「このポジションでいける」と思っていた前提が、いつの間にか静かに崩れていた…ことは、珍しくありません。
だから、定期的に見直す必要があります。
- 最初のポジショニングがうまくいかなかったら、調整する
- 市場が成長してきたら、少し広げてみる
- 競合が増えてきたら、もっと絞ってみる
柔軟に、変化に対応していくこと。
それが、小さな会社が生き残るための戦略です。

ここまで強く言うのには理由があります。
私は一度、「うまくいった瞬間」に止まってしまいました。
その結果どうなったのか——もし気になる方はぜひ、この記事も読んでみてくださいね。

ポジショニングは、簡単には決まりません。
「なんとなくこの辺かな」で決めてしまうと、後で苦労します。
だからこそ時間をかけてちゃんと調査して決めましょう。
そして、上手くいっている時も必ず定期的に見直して改善を続けましょう。
・ターゲットは何人くらいいるか?
・検索ボリュームはどれくらいあるか?
・業界レポートや統計データはあるか?
・「なんとなく多そう」で判断していないか?
・検索上位はどんな会社が占めているか?
・大手が広告を大量投下していないか?
・価格帯はどのくらいか?
・レビュー評価や口コミ内容は?
・その市場で“勝てる余地”はあるか?
・検索上位はどんな会社が占めているか?
・大手が広告を大量投下していないか?
・価格帯はどのくらいか?
・レビュー評価や口コミ内容は?
・その市場で“勝てる余地”はあるか?
・自社の強みは何か?(スピード/専門性/価格/地域密着/ストーリーなど)
・その強みが自然に活きる市場か?
・強みが埋もれてしまう場所で戦っていないか?
・お客様は何に困っているか?
・どんな言葉で検索しているか?
・口コミやレビューにどんな不満があるか?
・まだ満たされていない“隙間”はどこか?
まずは、自社が戦うべきフィールドを、じっくり見極めることから始めてみませんか?
焦らなくていい。時間をかけていい。
ちゃんと調査して、勝てる場所を見つけましょう🌸