
1年で資料請求数を7倍に!小さな企業の集客をサポートする、シバサキカホです。
実際に問合せ数を増やしたOL時代の経験を元に、一人広報さんの支援をしています。
私がいた会社の社長は、とても熱い人でした。
自社の商品に自信と愛情を持っていて、「この商品の良さを、もっとたくさんの人に知ってほしい!」と、いつも目を輝かせていました。
その気持ち、とても素敵だと思います。
でも、その想いが強すぎて、こんなことが起きていました。
絶対にうちにマッチしない会社にも、同じ温度感で営業してしまう。
今回は、「みんなに届けたい」が生んだ、ちょっとした落とし穴の話です。
ある日、営業部から連絡がありました。
「新規の問い合わせが入ったから、資料送っておいて!」
よくあることですよね。問い合わせ自体はとても嬉しい。
私は、いつも通り資料を準備して送りました。
でも、よくよく聞いてみると、その会社は明らかにうちの商品には合わない規模感。
予算も、求めている機能も、全然違う。

これ、たぶん成約しないだろうなぁ。
そう思いながら送ると、意外なことに何度か訪問したり電話で詳細を聞きたいとのお話が。
ただ、行ってみるとやっぱり予算も、求めている機能も、違う。
話を聞けば聞くほど、本命ではないことだけが、はっきりしていったのを覚えています。
こちらがどれだけ丁寧に説明しても、“選ぶため”ではなく“比べるため”に呼ばれている感覚が、消えることはありませんでした。
本命の商品を購入するための、「こういう合わない製品もある中で…」という踏み台モデルにされているのが、ありありと伝わってきました。

これは「購入したい検討」じゃなく、「比較に使われている」だけなんだなぁ。
そう感じるには、十分すぎる空気でした。
でも社長からは「どんな会社にも可能性がある!」と言われて、丁寧に対応を続けました。
結果、何度もやり取りを重ねたものの、やっぱり成約には至りませんでした。
そして、その間に別の優良客からの問い合わせ対応が遅れてしまい、結局そちらも逃してしまったんです。
「みんなに買ってほしい」
この想いは、決して悪いことではありません。
でも、現実問題として、リソースには限りがあります。
広報の私が対応できる時間も、営業が動ける件数も、サポートできるお客様の数も、全て有限です。
「みんなに」売ろうとすると、「誰でもいい」。

結局「誰にも」響かない、薄いメッセージになってしまいます。
そして、本当に必要としてくれている人に、十分なサポートができなくなる。
これって、とてももったいないことだと思いませんか?
考えてみてください。
「あなたのために」と、本気で向き合ってくれる人と、
「誰でもいいから買ってくれればいい」と思っている人。
どちらから買いたいかなんて、答えはもう決まっていますよね。
みんなに売ろうとすることが、いちばん不誠実になることもある。

合わない人に売らないことも、立派な戦略なんだ。
と、学んだ出来事でした。
どんなに優れた商品でも、できることには限界があります。
万能な商品なんて、存在しません。
- 小規模企業向けに作った商品を、大企業が使おうとしても、機能が足りない
- 専門性が高い業界向けの商品を、全く違う業界が使おうとしても、合わない
- 初心者向けに作った商品を、上級者が使っても、物足りない
悪いことじゃありません。
むしろ、「誰に向けて作ったか」が明確だからこそ、ターゲットにはドンピシャで刺さるんです。
どんなに優れた商品でも、できることには限界があります。
万能な商品なんて、存在しません。
例えば、他より少し高価だけど、とても高性能な家庭用オーブンがあったとします。
外はカリッと、中はじゅわっとしたグリルチキンが焼ける。
パンやクッキーも本格的に作れる。

普通のオーブンより少し高価だけれど、料理が好きな人からは「これじゃないと無理」と言われるほどの名品。
でも、それを一日に何千人分もの料理を出すホテルのレストランが使うかというと、話は別です。
業務用としては容量もパワーも足りないし、耐久性の前提も違う。
逆に、
「家ではほとんど料理をしない」
「トーストが焼ければそれで十分」
という忙しい独身のサラリーマンにとっては、オーバースペック。
価格も機能も、「そこまで求めていない」と感じてしまいます。
このオーブンが悪いわけではありません。
ただ、ターゲットが違うだけ。

オーブンを買いに来たお客様だから…と、ホテルのレストランのシェフや忙しい独身のサラリーマンに一生懸命説明しても…時間や労力の割に合わない結果になるのは明白ですよね。
料理を楽しみたい家庭向けに作られたからこそ、その層にはドンピシャで刺さる。
それ以外の人に合わないのは、設計の結果です。
無理に全員に買ってもらおうとしなくていい。
本当に必要としている人、本当に価値を感じてくれる人に、ちゃんと届けばいい。

そう割り切ると、すごく楽になりました。
そして何より、お客様も幸せになります。
自分に合わない商品を買わされて、後から「思っていたのと違った」と後悔するより、最初から「これはあなたには合わないかもしれません」と正直に伝える方が、よっぽど誠実です。
「この商品、あなたには合わないと思います」
「もっと別の選択肢を探した方がいいかもしれません」
こう言えることは、実はとても強いことです。
なぜなら、本当に自信がある商品だからこそ、合わない人には売らなくていいと思えるから。
無理に売ろうとしないことで、逆に信頼が生まれます。
「この人は、売りつけようとしてるんじゃなくて、本当に私のことを考えてくれてるんだ」
そう思ってもらえたら、例えその時は買わなくても、いつか別の機会で戻ってきてくれることもあります。
全ての問い合わせに、全力で対応する。
それは、一見素晴らしいことのように思えます。

でも、「冷やかし」と「本気の問い合わせ」を見極める勇気も、時には必要です。
- 予算が全く合わない
- 求めている機能が、うちの商品では提供できない
- 業界や規模感が、明らかにターゲット外
こういう場合、無理に追いかけるより、「うちには合わないかもしれません」と正直に伝えた方が、お互いのためになります。
その分のリソースを、本当に必要としてくれている人に使う。
広報として、できることには限りがあります。
時間も、体力も、予算も、全て有限です。
だからこそ、本当に必要としてくれている人に、全力を注ぐ。
冷やかしに時間を取られて、優良客を逃すなんて、もったいない。
合わない人を無理に追いかけるより、合う人にちゃんと向き合う。
それが、小さな会社の正しい戦い方だと思います。